2011年5月1日日曜日

非電化工房

ゆう夫妻と地元に住む友人を誘って、栃木県・那須町にある非電化工房へ行ってきました。
池を囲んで、小さな建物が点在する‘素敵すぎる’場所。

発明家の藤村さんのお話も、心に染みて、言葉にならない程の元気をもらって帰ってきました。

写真中央の母屋を出て、まずは工房見学。
母屋の前には、非電化の冷蔵庫がありました。電気を使わない冷蔵庫って?昔の氷を入れるようなのかな?と思っていたら、放射冷却を利用し、断熱をしっかりしたというもので、その仕組みを副代表の息子さんが丁寧に説明してくれました。
しくみさえわかれば、ホームセンターで手に入る材料で、半日もあれば、似た構造のものができるそうで、やれそうだと思った方はぜひやってみて下さいと、発明品の常識をくつがえす寛大さです。
フィンランド製のムーミンハウス(これだけは、購入したもの)、眺めが抜群のテラスのような温室、非電化の小さな建物を見ながら工房内をあるきます。
そして、籾殻(もみがら)ハウス!
そのあまりの可愛らしさに愛しさまで込み上げてきます。
那須町は311の震災で、半壊や全壊のお宅も少なくなく、このもみがらハウスも支えていた鉄の杭が曲がってしまったそうですが、建物自体は全く壊れずに無事でした。
木の棒は、建物を支えているわけではなく、ここが入り口。三角の扉がUFOのように開くのです。
中は、小さな天窓の明かりで予想以上に明るく、横窓から見える風景はのどかで、その風景にかかる藁のシェードがなんとも言えず、気持ちをほぐしてくれます。
壁には、もみがらが入っていて、冬はあたたかく夏は涼しい断熱材になります。今、断熱材として使われているグラスウールと同じくらいの断熱効果があるのだとか。
お米を守って保存するもみがらの力は偉大です。
そしてなんと言ってももみがらは無料!
こんなすごいものをただ捨てるのでは、もったいない〜と、しみじみ思いました。

他にも、空気の自然対流を利用した換気システムに、屋根の上の風車が回って換気をするしくみ。屋根には小さな太陽光パネルをとりつけて夜間の室内の明かりに。冬の寒さに小さなだるまストーブが一つ。
適材適所だけでなく、必要最小限のものを、最大の効果で使っている無駄のなさに脱帽です。

そしてこちらは、非電化風呂。
斜めの屋根には、耐熱ホースで水が循環し、晴れた日には太陽がお湯をわかしてくれます。
曇りや雨の日には、右下のかまどで、薪やゴミを燃やしてお風呂をわかします。
薪をくべて沸かすのは、毎日続けば大変でも、何日かに一度なら楽しい仕事。
太陽が出ていれば太陽にまかせ、出ていなかったら、自分で沸かすというスタンスが末っ子気質の私には、ぴったりで、うれしくなります。

もみがらハウスも非電化風呂も1年間の約束で住み込んでいる弟子たちが建てたもの。
材料費は10〜15万というから驚きです。

そしてアトリエでは、さらなる発明品がつくられていたり、
‘前電化製品’と称して、コーヒーミル黒電話も集められていました。

アトリエの前に干されているのは、非電化除湿器に使われている除湿剤。乾いていると青く、湿気を吸い取るとピンクになります。

一通りの見学を終えて母屋へ戻り、藤村さんのお話の時間。
「まずは注文を取ります。コーヒーとはと麦茶のどちらかを・・・」と始まった、コーヒー焙煎器と有機コーヒーの話。
「ぼくは、発明家だから。いい人が困っているのを助けるのが発明家の仕事だから」と穏やかに始まったその話は、ゆっくりと、豆を煎り、ミルで挽き、お湯を注いでコーヒーを入れる、そんなゆったりととした時間そのもののような、あたたかくて、心の霧が晴れて行くようなお話でした。

非電化ナビで(つまりは地図から行き順を拾って)現地まで連れて行ってくれたゆう夫妻にも感謝。
今度は、みんなで何かを作りに行けるといいな。